アスカガ感謝祭

鋼の揺りかご

 

【鋼の揺りかご】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………未来………って………

 

なんだ?

 

 

【鋼の揺りかご】

 

 

 

『アスラン早いな』

『アデス艦長………』

『………初陣らしくない…な』

『……はぁ』

 

一緒に戦場を駆け抜けた仲間はまだ………来ていない。

いつの間にか………一番乗り。

目立つつもりは………全くない……んだけど………。

 

『………すみません』

アデスは唇を歪めた。

『いいパイロットになるな……

 

 

久しぶりに引いたトリガーは……確かに怖かった。

でも………MA……なんだよ。

相手は。

 

 

生身の人間の姿は見えないから……あの時の恐怖は………全く………思い出さなかったんだ。

 

 

………あの時………の………

 

 

 

 

『アスラン!!!』

 

 

 

 

 

トリガーを引いた反動で飛ぶ体。

背中に走る痛み。

何かにぶつかった……けど、振り向く勇気はなかった………

 

目の前の散在からそらせない

 

鼻をつく火薬の焼けた臭い。

赤い壁………

そう

光に反射する………真っ赤な………

その………真っ赤な………ヒトの形を成したものは………手を………伸ばし………

 

 

倒れた

床に

床から飛び散った血溜まりの一部は

 

 

僕の

 

僕の服を………染めた

 

 

生臭い匂いと胃から逆流する何かを感じ口を押さえる。

その手からも火薬の臭い………

 

 

いつの間にか抱えられた体。

母上の腕の中で、恐怖を感じていた………。

 

 

.

 

 

 

『アスラン!!!アスラン!!!』

 

………まさか………こんなに早く、子供に銃を使わせることになるとは思わなかった。

 

狙われたのは夫?息子?私?

 

答えは解らない………だって………

 

息子が………

 

アスランが………

 

 

殺してしまった………から………

 

 

 

 

 

興奮状態の息子を抱きしめ続ける。

 

!!!どうした!!!』

!!!』

声のするほうに向き直り、倒れこむ。

咄嗟に抱き留めてくれた体は温かく、震えの止まらない体に落ち着きを与えてくれる。

『レノア?アスラン?』

覗き混む瞳は困惑の色に染めて行く。

 

その瞳はやがて一点で止まる。

 

アスランの手からもぎ取られた拳銃。

 

 

流れるように飲み込まれていく銃弾。

 

 

硝煙の影に倒れた大きな背中。

 

 

『…ち……ち…う……え……』

 

血の気の引いた母の腕の中で、焦点のあわなくなったアスランの瞳は、糸が切れたように閉じられた。

 

.

 

手続きは直ぐに行われた。

 

コペルニクス行きのチケット、そして『留学生』と言う肩書き………

不安な顔色しか見せない息子の頬を手のひらで包み、伝える。

『アスラン……』

服の隙間から見える包帯が痛々しい…母の腕。

『暫く会えないけど……』

『………母上』

『……生きてて…アスラン』

 

 

それは………いつまで守らなければいけない約束?

 

『イイコ』にしてれば………短くなる…の?

 

 

心が………泣いて……いた

 

 

忘れたくても忘れられない赤の部屋

 

 

倒れた父上

 

 

倒した敵

 

 

倒れた三人の生活

 

 

.

 

 

 

『キラ挨拶しなさい』

 

元気よくだした右手に、彼は恥じらいスカートの影に隠れる。

僕は、思わず母親の顔を見た。

頷く母親の顔を見て、僕は口を開いた。

 

『あすらんっていって』

 

 

 

 

『あすらん!!!』

 

キラはよく、僕の名前を呼んだ。

滑り台の上、土管の秘密基地、花の蜜を吸うのだって一緒だった。

もちろん、怒られるのも………

 

 

『ねぇ……きら……』
だれかよんでない?

『そう?』
ぼくにはきこえなかったよ?

 

顔を砂だらけにして砂山にトンネルを掘るキラ。

『ぼく、水くんでくる』

きらとぼくのバケツをもって水飲み場に走る。

 

バケツにいっぱいになった水は、砂場に運びながら零れていき………。

 

『………ぼく……もっかいいくね』

にっこり笑ったぼくを呼ぶ声………。

 

 

『アスランくん!!!キラくん!!!』

振り替えると腰に手をあて怒った先生が教室からにらんでる。

『お昼寝の時間でしょ!!!』

先生の怒った顔を見て……すぐに泣き出すのはいつもキラだった………

 

.

 

父上に逢えると、喜んで出かけていったアスランだったのに………

 

戻ってきた彼は………

 

固く口を閉ざした彼からは何も聞けなかった………

 

………君の……笑顔のない明日なんて………

 

僕には考えられなかった………

 

 

 

 

アスランのお母さんがプラントから戻ってくるまで……アスランは僕の家にいた。

 

 

………といれ………

 

おもらししたら……おかあさんにおこられる………

 

僕は布団から目を擦りながら這い出る。

 

部屋の扉を開けてトイレに向かう。

 

 

………あれ?

………はなしごえがきこえる………

 

『………丈夫よ……アスラン君……』

『……でもッ………おばさッ……』

『……泣かないの……お母さんが悲しむわよ……』

 

 

.

 

 

 

………あすらんが………ないてる………

 

緑の瞳からこぼれ落ちる、大粒の涙は、びー玉よりきれいで………お母さんがお出かけするときにつける、ネックレスについている宝石みたい………

 

 

…あ”………といれっ……

 

 

僕が、アスランの涙を見たのは……この時だけ………

 

 

.

 

 

 

 

 

 

………未来………って………

 

なんだ?

 

 

太陽に手をかざす。

 

人工太陽の下でも、ここ、オーブ連合首長国を照らす太陽の下でも………

 

俺の手は………

変わらない

 

 

他人の血に塗れた手………

 

 

ムスクのようにまとわりつく火薬の匂い………

 

俺は………いつまでも………

 

鋼の揺りかごを揺らし続ける

 

 

 

fin.
20090502

 


 

【編集後記】

 

心が疲れている方へのアスカガ

絶賛!!告白中!!
学生パロディ。カガリがドーナッツ屋さんで勉強していると声をかけてくる人物が。

 

Black or Whiteシリーズ|かがりinくるーぜ隊シリーズ
各シリーズをまとめたリンク集です。気になるお話は見つかるでしょうか。
刻の中のLANDSCAPE
血のバレンタインが起こった2月14日。プラントを公式訪問するカガリ。

 

 

2009年2月半ば頃に書き始めたはいいけれど………どう締めようか、すっかり忘れてしまいました(汗)

………アスランの初めて銃を使った話を書きたかっただけなのかも………

キラはあまり苦労せずに育ったイメージがあるんですが………アスランは………色んな悲しみを経験して、それでもピュアに育ったイメージがあります。

………私だけ?かも知れませんが………そんなイメージは………

 

 

 

20090502 ねじ

 

 

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