▼戦国

ダンデライオン【忍者パロ】【未完成】

 

 

 

 

 

ダンデライオン【忍者パロ】【未完成】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『また………お前か……』

 

木々の中からかけられた声。

アスランは……しかめっ面な顔をさらに険しくさせた。

もともと綺麗な顔立ちなので、表情を強ばらせたところで、相手が逃げる……というわけでもない。

 

『げほっ』

滝淵から陸にあがるときに、飲み込んでしまった水を吐きながらアスランは上がる。

 

『………だらしないなぁ……お前』

『うるさいぞ……』

 

 

.

 

 

 

ふんどし一枚で膝丈ぐらいの草の中を歩いて……隠してあった服と手荷物をひっぱりだす。

火打ち石を使って火を炊きだす手際は………早かった。

 

『だいたい……姿ぐらい見せろ……忍者なんだろ?』

『見せたくても……村の掟で見せられないんだ……』

 

先ほどの場所から……少し……移動したようだ。

でも……相変わらず姿は見せず。

『だからって……毎回毎回、修行しているところを見られていろって言うのか?』

 

 

.

 

 

 

姿の見えない相手に向かって話す、

『お前が……ここで修行するからいけないんだろ?わざわざなんで、こっちの村に近いところでやるんだよ!!!』

『誰にもみられたくなかったからだ!!!……なのに……なんで……いるんだよ………』

顔を真っ赤にしながら……冷えた身体を火にあてる。

 

 

.

 

 

 

『……隠れて努力か……才能のない奴が好むパターンだな……』

『うるさい!!!』

アスランは怒鳴る。

『だいたい……身体が貧弱すぎるんだよ……お前……腕が……その辺に転がってる薪以下の細さじゃないか………』

 

『………』

 

『水を操るなんて………いつまでたっても出来ないぞ』

『………よく喋る忍者だなぁ……』

アスランは無性にイライラしてきた。

何も……彼だって隠れてわざわざ訓練する理由はない。

幼少の頃から……一通りは行って……それなりにはこなしてきたのだ。

潜入捜査も……権力者の子供の身代わりも……

しかし………先日………

 

 

.

 

 

 

『アスラン……』

『……母上?』

呼び止められてびっくりする。

 

確か………東北の方に諜報活動に行ってたんじゃ………

いつ……帰ってきてたんだ………じゃ……父上も……

 

『頭領がお呼びです』

『………はい……母上』

 

高床式の建物に母に続いて入る。

『やぁ……お久しぶり……アスラン君』

 

『………クライン様』

 

 

.

 

 

 

この場に不釣り合いな直衣を着たシーゲル・クライン。

『そろそろ君も元服の頃だと思ってな………』

『あ……はい』

アスランは伏せていた顔をあげる。

『元服と同時に……行われるここの村の儀式は……わかっているかね?』

 

 

.

 

 

 

『………はい』

頬を赤らめながら、アスランは答える。

『周囲の村の女性をひとり持ち帰ってくること………』

『ふむ……概略は外してないな………』
クラインは口髭に手を当てる。

『婚約者として、君の両親が、誘拐してきた子……その子が運命の相手だな』

 

『………はい』

アスランは……聞くたびにとんでもない風習だと……毎回思った。

 

 

.

 

 

 

『して…………』
クラインが問う。

『その相手はどの村に育てさせたのだ?』

『はい………クライン様』

にっこり笑って答えたレノアの返事に、アスランは凍り付いた。

 

 

『………アスラン……頑張りなさい』

クラインは、そう一言残すと……席を立った。

 

『母上!!!』

『あら!!嬉しそうね!!アスラン』
にこにこ顔のレノア。

『この顔のどこが嬉しそうなんですか!!!』

アスランは………これからのことに動揺している。

『だって………お父様が……』

 

 

.

 

 

 

………うちの家系は火には強いが……な……
残念なことに水の術は苦手なのだ………
なんとか……少し水にも耐性をつけないと……な

 

そう………ですわね………
………では、!!!
水をお祀りする神社から、お子様を頂いて………隣村でくのいちになって頂いたら?………

 

 

.

 

 

 

……隣村に!!!
確かに……水の術には開けた忍者が多いが……あそこの婚姻事情は……
確かどこかの山に行って……秘宝を………

 

………まぁ!!!
初めての共同作業ね!!!……

 

………レノア……
………命をなくすヒトも……いる……み……

 

………私たちのアスランですもの♪……
じゃ、早速、巫女さんを誘拐してきますね………
………この村の……母の務めですもの!!!………

 

 

.

 

 

 

『………はぁ』
火にあたっていた身体はとうに乾いたが……気は……重い。

 

………よりにもよって水の忍術……苦手な………

 

なんとか……少しは……慣れてきた……けど……
火の……耐性が………

 

 

『………お前はいいよな…覗いていればいいんだから………悩みなんてないだろ………』
ぶっきらぼうに言い放つアスラン。

 

『……そんなことはないぞ……私だって……』

 

 

.

 

 

 

声が近い……

………?私?……

 

……おんな……だった……んだ……

 

『……聞いてやるから……言えよ』

薪をほおりこむ。

なんとなく……まだ空気に身体をさらしていたい………。

 

『……両親から……聞いたんだ……』

 

カサカサっと草の音が聞こえる。

『……なにを……』

知らぬ振りして会話に集中しているように見せ掛ける。

『……私、二人の子じゃないって………』

 

 

.

 

 

 

『そんなこと……よくある話じゃないか………』

 

毎回毎回盗み見されてたんだ……油断している時に、顔を拝んでやる。

『そうだけど……頼まれただけだって言われて………』

『親戚にか?』
一番……近い樹木まで……5mぐらい……だったか……もう少し……近づいたら……

 

『……知らないヒト……みたい』

『で……両親探しの旅にでも行きたくなったか?覚えた忍術で………』

焚き火をいじりながら会話を続けるアスラン。

『それは……考えたこともあるが……』

『どうしたいんだ……』

『今は……傍にいて、育てていただいたから、恩返ししたいと考えている』

 

 

.

 

 

 

はっきり答える女の声。

『結論……出てるじゃないか……迷うことはない』
どうやって………顔を拝んでやろう……武器は?

流石に………丸腰ではないはずだ………

 

『問題は……これからなんだ……私を今の両親に預けたヒトが、迎えにくるんだ………今年で……ちょうど10年目だから………』

『へぇ………』
………どっかで……聞いたような話………

……10年前………って………

 

『私……何も孝行出来ずに……知らないところに……』

 

 

.

 

 

 

『………』
随分と………義理堅い女だな………

戦国時代なら……間違いなく……死を選ぶタイプだよなぁ……

 

天下太平の今じゃ……そんな志、意味はないと思うが………

 

 

何故か……啜り泣く声まで聞こえてくる。

 

今なら………

それに……この女………

 

 

アスランは薪を火の中に突っ込み、ぱちんと派手な音をさせて……アスランはくないを手に木陰に入った。

 

『あッ!!!』

啜り泣いていたくのいちの右手を捕らえて樹木に押さえようとする……が……

 

『ッつ……』

『なんで………お前なんかに捕われな……』

涙に濡れた頬だが……瞳に……動揺が走る。

勝ち気な物言いも……潰えて………

 

『………お前は……だって……女性が………』

 

小刀から……ぽたぽたと血が零れる。

 

 

.

 

 

 

『明後日……お前を迎えに行くのは俺だ……』

 

アスランは女に斬られた肩口を押さえて、伝える。

『……ぇ……』

『こんなことに……なるとは思いもしなかったけど………その前に……狼の森を、俺が無事に出れればの話……だな………』

アスランは歩きながら、焚き火の傍に戻る。

『………!!!』

『擦り傷でも3匹は寄ってくるのに………せいぜい、親孝行しろよ?』
………意外に深く斬られている……獰猛な狼相手に……立ち回れるだろうか……

 

……仲間……呼ぶしか……

 

 

『……あ…待て………』

少女が呼び止める。

 

『なんだ?』

『傷……治すから……』

『……別にいいさ……』
アスランはまだ火のついた状態の焚き火の中に、短剣の切っ先を入れる。

『お前!!!』

『まだ………狼の餌になるには早すぎるし、なりたくもないからな……』
真っ赤に色付く剣先を眺めながら……アスランは呟く。

『傷口を焼くのか?』

 

 

.

 

 

 

『あぁ………早く村に戻れよ……正直、見てても気分のいいものじゃないぜ』

『止めろ!!!』
カガリはとっさに水筒の水を焚き火に振り掛けた。

『何を!!!』

『だから!!!傷……治すから!!!』

カガリは、腰に付けていた巾着袋から呪札をとりだし、アスランの傷口に重ねる。

その上から更に水をふりかけると、札は色をなくしていき……皮膚と同化していく。

 

『これは………』

 

『誰にも……言うな』

 

 

.

 

 

 

彼女は着ていた着物の端を切り裂き、呪札の上から巻き付ける。

 

『………私しか……この呪札は扱えない』

 

アスランは彼女の顔をまじまじと見つめる。

 

『………親孝行……したかったんじゃなかったのか?』
俺がいなくなれば………君を迎えに行く者も、必要もなくなる。

 

『………狼の餌にわざわざしなくても……お前のところに嫁に行かなくていい方法はあるから……』

 

『………あぁ……確かに……な……』

『!!!知っているのか!!!?』

 

『………秘宝のことだろ?』
………聞いてるよ………

大きな溜め息と共に吐き出す言葉。

『細かいことはわからないけど………大変なんだろ?』

 

『………うん』

 

 

.

 

 

 

『今……話してもらうことは……出来ないのか?』

 

先程より、素直に話をしてくれる少女に、アスランは尋ねる。

『それは無理だ』

『?何故……』

思わず眉をひそめる。

 

『秘宝はいくつか……あるらしいんだ………』

『………秘宝と言えるのか?それで………』

アスランは……切り傷のない手で、頭をかく。

 

『私に言われても困る』

『まぁ………そうだよな』

 

 

.

 

 

 

鳥のさえずりが響き……風が吹き抜ける。

 

『明後日……迎えにって………』

口を閉じていたカガリが再び話しだす。

『あぁ………君を預けたのは俺の母だ』
………昔ながらの風習でな………君の人生を乱して悪いと……俺は思うよ………

 

アスランは……消えてしまった焚き火を見つめて呟く。

『………だから、今から逃げてくれないか?』

『はぁ?何を言いだすんだ、お前?』

少女は素っ頓狂な声を上げる。

その驚き様に、アスランは微笑む。

『………君がいなければ……俺はまだ祝言を挙げずに済むしな………』

 

 

.

 

 

 

『祝言?!?!?!』

 

大きな瞳を……さらに大きくする少女。

アスランは……たんたんと話す。

『直系だからな…俺は………男子が生まれるまで、君は子を孕み続けなくてはならないだろうし………』

『子を……』

敷かれたレールの先が……現実が見えてきて……カガリは次第に顔を白くさせていく。

 

『あぁ………そんな人生送りたくなければ、明日には村、出てろよ?』

 

 

.

 

 

 

『かっ………勝手なこと……言うなッ!!!』
カガリは怒鳴った。

 

木々に……吸収されそこねた声が、こだまされていく。

 

『じゃぁ………俺のものになるのか?』

『………うっ……』

『別に……ここで君と何か起こっても……俺はいいけど……』

『なっ……何かって……』

カガリは少し腰を上げる。

 

『男と女の契約って奴?』

 

 

.

 

 

 

アスランはカガリに塞いでもらった傷口に触れようと、手を上げる。

 

その動作に怯えたのか……カガリは短剣を引き抜き……。

『……ふっ……触れるな!!!』

『………傷口の具合、確かめちゃいけないのか?』

『あ”………』

『俺……そんなに信用ない?』

 

呆れた視線を受けたカガリは……思わず、目を反らせる。

『それとも……何か……期待してるの?』

『え”………』

顔を赤くする少女に、心のきれいなコなんだなぁ………と感じてしまうアスランは、立ち上がり………

 

 

.

 

 

 

『傷……治してくれてありがとう』

『いっ……今……な……』

『お礼だよ?』

着物を身につけだすアスラン。

練習に使っていた道具を風呂敷に包んで、背中で背負い込む姿を目で追いながら……カガリは暫く惚けていた。

 

『………水をお祀りする神社………』

去り際に、振り向くアスラン。

『……え……』

『君の本当の両親……そして、生まれはそこだ』

『………みず………』

少女は……瞳を丸くして復唱する。

 

『水の神に……好かれているんだな……』

翠の瞳を細めて、そう呟くと立ち去って行った。

 

 

『……水の…神社………』

頬に残った柔らかな感触を指でなぞりながら……カガリは運命が回り出したのを感じた。

 

 

.

 

 

 

『かわいいお嫁さんに成長していてくれると嬉しいわ』

 

 

………よく……言ってくれるよ………

 

くのいちの母の声を喜んでいる声を聞くと、多少なりともげんなりする。

 

だってそうだろ?

彼女は10年前、神社の巫女として生まれ育っていたのを、誘拐されて、くのいちとして、今の養父母に育てられたんだ。

それも………本日、彼女を再び奪いに行く、俺の伴侶として………。

 

………うまく………

 

逃げ出してくれてればいいんだけど………

 

 

.

 

 

 

 

『早く逢いたいわ』

 

そう、せっつく母の為に、アスランは重い腰を上げて出掛ける支度をする。

 

 

『行ってきます』

 

傷の癒えた手をあげて、村の出入口で振り返す。

 

木の枝を………たわませて進みながらアスランは考える。

 

隣村に伝わる宝ってなんだろう………

 

忍術に直接伝わるものならば………秘宝探しとして、仲間が騒ぐはず………

 

なにかしら……条件がそろわないと開かないもの?

 

だから、隣村にしか伝わらないのか?

 

俺が条件にあてはまらないのは確実だけど………

 

彼女は?

 

 

彼女は条件にあてはまるのだろうか………

 

 

.

 

 

 

先日………少女と出会った滝に出る。

 

 

『お待ちしてました』

 

『………俺は……忠告したはずだぞ』

 

木陰から姿を現すアスランに、薄く微笑む少女。

『もう少しで………禊ぎ、終わるから………』

白い着物に身を包んだ彼女は、小さく言葉を連ねる。

 

最後に………両手で掬った水を口元に運び………天に撒く。

 

きらきらと光を反射させながら………水は飛び散り………

 

 

………空気が………変わった………

 

こころなしか………甘くなったような………

 

 

『………反対側………向いてもらえないか?』

『え……あ……あぁ………』

 

 

.

 

 

 

水から上がる音が聞こえ………ぽたぽたと落ちる水音と共に布のきしむような音が聞こえる。

 

『なぁ………』

アスランは背後の少女に呼び掛ける。

 

 

『どうして逃げなかった?』

『………』

『ほとぼり冷めてから家に戻れば……君は思い描いた通りの生活が待っていたはずだ』

『………なんでだろう………な』

 

 

.

 

 

 

 

『………神社………あったよ』

 

紐を締める音が聞こえる。

『!!!行ったのか………』

『居場所は……なかったけどな……お参りをさせて頂いた』

 

『………済まない』
アスランは首を下げ………地面を見つめた。

 

 

彼女の居場所を奪っていったのは………

 

 

『もう………済んだことだ………』

明るい声で、肩を叩かれるアスラン。

 

 

『私を………迎えにきたのだろう?』

 

 

.

 

 

 

………幼い笑い声が聞こえた………

 

 

私と同じ金色の髪を翻して、手まりをうつ少女………

 

 

茶色の髪の………私とあまり年端の離れていない男子が、少女を呼ぶ。

 

 

 

………私は………あの家族の中で………

 

 

 

………でも

 

………今からは戻れない

 

 

………それに

 

………彼らとの記憶………

 

 

薄れて……流れてしまった……記憶

 

 

.

 

 

 

 

『どうぞ………御参り下さいませ………』

 

優しいすみれ色の瞳………

 

この方が実の………

 

 

『本日はご祈願であらせられますか?』

 

あぁ………私と同じ………

 

 

『私と同じ……きれいな色の髪……そして瞳だ………』

 

細められた瞳にやさしさが溢れている神主。

 

 

『水の神の穏やかなるご加護を………』

 

 

.

 

 

 

『水の神の穏やかなるご加護を………』

 

『………』

 

唱えるように呟かれた言葉に、アスランは胸が苦しくなった。

 

 

二つの川を越え、木立が少し薄くなってくる。

 

『ここからが領地だ』

少女は振り返って尋ねる。

 

『夜半まで待って忍ぶかい?』

『なぜ?』
アスランは笑って答える。

『君の立場が危ういなら、従うまでさ』

『残念ながら、私はただの村の娘だ』

朗らかに笑う彼女を見て……アスランは決める。

 

『じゃ……俺のやり方でいいよね?』

 

 

.

 

 

 

『ち……ちょっと………』

 

禊ぎで冷えた筈の身体に、熱が走る。

抱き抱えられて………村の中を歩くことになるなんて………

 

恥ずかしい

 

 

村人にとっては知らない怪しい男だし………

そんな奴に………抱き抱えられて帰ってくるなんて………

見上げると、涼しい顔をしている彼。

 

そう言えば………名前……知らないままだ………

 

 

『おい………』

 

 

.

 

 

 

『………何?』

 

『右に曲がれ』

踵を返して、歩きだす。

『そこの、青い………』

『カガリッ』

 

 

背後からの呼び声に、男の服を掴む。

 

『………』

 

男はゆっくりと振り向き………

『約束通り………彼女を戴きに挨拶にきました』

落ち着いた………余裕のあるゆったりとした声だった。

 

 

.

 

 

 

 

『戴きにだと!?』

 

長い髪を束ねた、彼女の養父が険しい顔をする。

 

『勝手に預けて………育ったら奪う………それが、いいことだと思うのか!!!人間の情に………』

 

『情に反することだと、充分わかっております』

 

目を少し細め、彼は言葉を続ける。

 

 

『それでも………火の流れを継ぐ我が村の伝統に従い、彼女を預けるしかなかったんだ』

 

『火!!!』

 

カガリは抱き抱えられている男に対し、目を大きく見開いた。

 

 

.

 

 

 

村の………みんながざわつく。

 

 

『火……だと……』

 

『なんで火の輩が………』

 

『あいつは我らの村を………』

 

『俺は!!!』

 

少女を抱き抱えたまま、男は声を張り上げる。

 

シンと………静まり返った村………

 

『俺は……ただ……彼女を嫁にするために戴きにきただけだ。それ以外、興味はない』

 

 

.

 

 

 

『………婚姻か』

 

呻くように………少女の名を呼んだ男が言う。

 

『この村の作法はわかっているのかな?』

 

『了解している………ただ、宝を手に入れることが目的ではない』

 

『………』

 

抱き抱えていた少女を下ろし、彼女の肩に手を掛ける。

 

 

『彼女を手に入れること以外、俺は必要ない』

 

 

.

 

 

 

『カガリが………目的………』

 

寂しげに呟くと、きびすを返した男。

 

『きなさいカガリ……それと……火の』

 

『アスランです。アスラン・ザラ』

 

『!!!火の………直系…まだ……生きて………』

一瞬開いた瞳をまた………不機嫌そうに細めた男に、アスランはカガリの後に着いていった。

 

 

.

 

 

 

『………なんで俺様が!!!』

 

銀色の髪を乱して、叫ぶ青年。

 

『こんな火の連中と一緒に山登りしなきゃなんないんだ!!!』

 

………そのままそっくり返してやる。

 

『………随分と水の血筋でも感情豊かな方がいるんですね………』

 

『前見て歩け……

 

俺は、弟分に注意し……乳兄弟の荷物をひとつ持つ。

 

『悪いな…………付き合わせて………』

 

『いえ………アスラン様』

 

シホはそっと顔を赤らめる。

 

 

.

 

 

 

………こいつ………

 

カガリは不貞腐れていた。

 

婚約者………として先日知り……ちょっと胸をときめかせていたのだが………

 

 

なんで………

女を連れてくるんだ!!!

 

 

私じゃ………

 

あなたには役不足?

 

 

.

 

 

 

『シホ………火を起こしておいてくれ……ニコル、行くぞ』

 

『はい!!!』

 

 

早めに野営地を決めたアスラン。

 

この先、どうなるかわからないから………と、食料探しに出掛けてしまう。

 

護衛として選ばれたイザークは、警戒心からか黙ったまま………。

 

『アスラン様は………ああいうヒトですから………』
シホが薪をくべていく。

 

『自分の全てを自ら曝け出すことは苦手のようです………』

 

ゆるく笑うシホに少し親近感が湧く。

 

『努力している姿とか見られるのは?』

 

少し、考えて微笑む。

 

『一番苦手とすることですね。ましてや、それで怪我することとか………』

 

 

.

 

 

 

『アスラン』

 

獣道をそっと歩く二人。

 

前を歩くアスランをニコルは呼び止めた。

 

『どうしたニコル?』

 

『あちらで音が………』

 

弓先の指す方で、枯れ枝が踏まれる音がかすかに聞こえる。

 

『大きな獲物だと………明日の朝ご飯にも回せるから………楽になるな………』

 

瞳を細めて何がいるのか見定めようとするアスラン。

 

『………そうですね、アスラン』

 

その隣で、矢じりをつがえたニコルは、弓を引いて………距離を測る。

 

 

『待て!!!ニコル!!!』

 

 

.

 

 

 

アスランの声に、ニコルの手は間に合わず………

 

なんとか狙いを外して飛ばす。

 

『どうしたんです?』

 

矢を引く間、呼吸を止めていたのか、大きく息を吐き出しながら問うニコル。

 

 

『………牝鹿だ……』

 

『それがどうかしたのですか?』

 

ニコルは不服な声を上げる。

 

 

『………水の者達は苦手なハズだ………』

 

 

.

 

 

 

『………そんなこと考えていたら食べるもの、なくなりますよ』

 

異論を唱えるニコルに、アスランは静かに話す。

 

『それでも……初日からは止めるべきだと考えただけだ………まだ、生き物はいるだろ?』

 

眉を寄せたアスラン。

 

 

『………そうですね』

 

少し、瞳を伏せたニコルは考えが落ち着いたのか、笑ってアスランに話し出す。

 

『狩りを続けましょう』

 

 

.

 

 

 

『こんなものしか獲れないのか………』

 

予め罠を張って中で捕らえたうさぎ、射落とした鳥………

 

シホが焚いた火にくべると、イザークは文句をつけた。

 

『………こんなとはなんだ!!!本当は……』

 

自分たちの腕が悪いと言う様な視線を浴びたニコルは腹をたてる。

 

『ニコルッ!!!』
『イザークッ!!!謝れッ!!!』

 

 

.

 

 

 

アスランは怒鳴って………隣からの声にびっくりする。

 

綺麗な顔が、眉間に寄せた皺で崩れている。

 

『なッ………なんで謝るんですか?』

 

カガリの形相に、動揺したイザークは声を裏返して反論する。

 

『食料は食料だ………それに………』

 

あくまで落ち着いて話しだすカガリ。

 

 

『このうさぎだって、私達にたまたま食べられることになったんだ………失礼だッ!!!』

 

最後には………感情が走って口調は強くなっていた。

 

『………すみません』

 

彼女の剣幕に飲まれたイザークは、直ぐに頭を下げた。

 

 

.

 

 

 

『アスランが連れてきた方………』

 

ニコルは隣に横になるシホに囁く。

 

見張りするから………と木の上にさっさと登ってしまったアスラン。

 

 

『………優しい方ですわ……ね』

 

『うん……僕、仲良くしたいもの………』

 

シホの言葉に、ニコルは答える。

 

『ねぇ……ニコル………』

 

『何?シホ?』

 

『さっき………言い掛けてたこと………教えて?』

 

シホはニコルの瞳を見つめる。

 

『………ん……』

 

瞳を反らすニコル。

 

それでも視線が突き刺さってきて………。

 

 

ニコルは溜め息を吐く。

 

『アスランには………内緒ですよ?』

 

 

.

 

 

 

『………おい……それは本当か………』

 

 

小声だが………刃のような鋭い声。

 

思わず、気付かれてないかと、木の上を見上げる。

 

遠くの景色を隈無く見つめるアスランの視線は、こちらには落ちてこなかった。

 

『ふん!!!やはり腰抜けだな………』

 

イザークは呟く。

 

『俺も、仲間も鹿の肉は何度も食べている………』

 

『………アスランは』

 

自信たっぷりに話すイザークに煽られ、ニコルは眉間を寄せる。

 

 

『カガリ様は………』

 

柔らかくイザークに問いかけるシホ。

 

『祭りの時に出るんだ、食べない訳がなかろうが………』

 

『さぁ………ご本人に聞いてみないとわからないようですわね………』

 

 

シホは、背を向けて横たわるカガリの背中を眺めた。

 

 

.

 

 

 

……………

 

 

あいつ………

 

何………考えているんだろう………

 

 

生まれた神社の御神獣は確か………鹿………

 

 

私の力を

 

 

利用したいから………か

 

 

村に連れて来る前の気持ちとは異なり、カガリの胸にはひとつひとつが疑念となっていた。

 

 

.

 

 

 

……………

 

 

許婚か………

 

女ひとりだと息苦しいと思い、乳兄弟のシホを連れてきたのは正解だったようだ。

 

必要なコト以外、話すのが苦手と言うこともあり、口からは出ない。

 

 

ニコルみたいに………

 

コミュニケーションが出来れば楽なんだろうけど………

 

 

俺は………

 

自分の血統の為と割り切っているけど………

 

 

………彼女………

 

………は………?

 

 

.

 

 

 

立ち上がる音がした。

 

 

『………水浴びか?』

 

ニコルと見張りを変わり、地面に横たわって仮眠をとっていたアスランは擦れた声を出す。

 

『………そうだ………』

 

応じるカガリに、アスランは隣のシホを揺すり起こす。

 

『何かあったら困る、シホを連れ………』

『ひとりでいい………』

『………でも!!!』

 

上半身を起こしたアスランに、カガリは尋ねる。

 

 

『そんなに独りにさせたくなかったら、お前が付いてくればいいじゃないか』

 

 

.

 

 

 

 

『………ッ』

 

 

アスランは立ち上がり、ニコルの登っている木の根元を蹴る。

 

振動が伝わったのか………ニコルは下を向く。

 

指で行き先を伝え、アスランはカガリの後を追い掛けた。

 

 

『………おい、寝た振りしてるのはわかっているんだぞ』

 

『気付いていらっしゃいましたか………イザーク様』

 

木に寄りかかって身体を休ませていたイザークは座ったまま伸びをする。

 

『お前の兄弟も………素直な人間じゃなさそうだな………』

 

『【も】………ですか………』

 

ふわりと笑うシホの横顔を見て、イザークはドキッとする。

 

『村でのカガリ様のコト、教えていただけませんか?』

 

『………なんでだ?』

 

訝し気に答えるイザークに、シホは微笑む。

 

 

『それがここでの私の役目ですから………』

 

 

.

 

 

 

『深いかもしれないから………気を付けろよ』

 

背中で衣擦れの音を聞きながら、アスランは忠告する。

 

『そう言うなら………お前も入ればいいじゃないか』

 

『………溺れたら、助けられないだろ?』

 

 

最もらしいことを言う男に、カガリは不満を感じる。

 

 

………こんな人間が

 

許婚………

 

 

出会って、話しをして、三日程度の男………

 

努力することと、負けず嫌いの性格は………昨晩のシホとの会話で掴めた。

 

 

………この男………

 

 

.

 

 

 

もしかしたら、自分の人生に私を利用するだけなのではなかろうか………

 

私だって………この男を好きになる自信はない。

 

 

ましてや、自分の人生を歪めた人間。

 

 

………試して……みよう

 

 

カガリは静かな沼水に足を踏み入れる。

 

足先で探りながら進むも………遠浅の沼ではないようで………

 

 

………冗談じゃなく……溺れそうかも………

 

カガリの鼓動は少し早くなる。

 

 

.

 

 

 

立ち泳ぎをしながら、衣を脱いだところを振り替えると、まだ背中を向けたままのアスランが瞳に映る。

 

 

………潜って様子を見る………か

 

 

ふぅ………と息を吐いてから、身体いっぱいに空気を吸い込み………

 

 

私は

 

 

潜った

 

 

.

 

 

 

ぱしゃぱしゃしていた音が聞こえなくなり、アスランは振り向いた。

 

鏡のように透き通った湖面は、空の色を映すだけ………

 

 

『カガリ?』

 

腰袋を急いで取り外し、俺は沼に飛び込んだ。

 

水を吸い出した着物は身体を重くし………

 

底に引き込まれそうな感覚になる。

 

明るい水面に向かって棚引く水草の群れは、足に絡まりそう………

 

 

………カガリ………

 

 

何処……だ……?

 

 

.

 

 

 

小さな魚が寄ってくる。

 

初めて入る沼なのに………

 

 

足先をつつかれて、くすぐったくなり、思わず泡を溢す。

 

 

………あの男は………

 

私が見えなくなって、どのくらいで気付くのだろうか………

 

 

耳を突かれて、肩をすくめると、また魚が寄ってきて………

 

 

………私を好いてくれるの………?

 

 

唇に両手のひらをつけ、泡を中に含ませる。

 

こすりながら広げると、細かな泡がいっぱい出来て………

 

 

私の作った泡の中で魚が気持ちよさげに泳いでいく………

 

 

.

 

 

初めて見る光景だった

 

 

魚と遊ぶ………と言うのだろうか………

 

 

彼女を………救おうと飛び込んだ自分が、情けなくなった………

 

 

考えればわかること………なの……に

 

 

水の神社に生まれた少女………

 

 

水に愛されているからこそ………あのような………

 

 

.

 

 

 

魚達に優雅な動きが消えた………

 

 

緊張を持った魚の動き。

 

 

大きな水の圧力と共に近づいた影。

 

 

………気付いた………んだ………

 

ゆっくり振り替えると抱き締められ………

 

アスランの足捌きで身体が浮上する。

 

 

空を映す水面が頭上に見え、水圧のから解き放たれるように、顔を空気にさらす。

 

背中に………アスランの鼓動が響く。

 

背面から抱き締められ、左頬に彼の冷たくなった頬が当たる。

 

 

『………心配……した』

 

振り絞るような低い声。

 

 

.

 

 

 

沼の淵に向かってゆっくり泳いで行く。

 

 

………どうして

 

この腕を離せないんだろう………

 

私の身体同様、冷たくなったアスランの腕。

 

もがけば………すぐに離してくれる………だろう

 

 

本能か………

 

 

離したら違う歯車が回りそうだったから、出来なかった………

 

 

.

 

 

 

腕の中でおとなしくしている彼女に………俺は違和感を覚えながら淵を目指した。

 

足がついたところで、彼女を横抱きにして淵を上がる。

 

 

『………冷えちゃったな………身体………』

 

そう………言うのが、俺は精一杯だった。

 

どう考えられているのかわからない俺は………馬鹿なことをしたとも考えていた。

 

 

.

 

 

 

『………ごめんなさい………心配かけて………』

消え入りそうな声だった。

 

危うく………聞き逃しそうなほど………

 

『………俺こそごめん。
君が水に愛されているのを忘れていた………』

 

服を脱いでいたところに彼女を下ろし、俺は言葉を続ける。

 

 

『………魚と遊べるんだな………羨ましい……よ』

 

 

.

 

 

カガリは鳥肌をたてた。

 

 

………見られて……いた………

 

 

アスランは………私を………

 

 

もしかしたら……

 

私を………

 

 

自分の身体を抱き締める。

 

 

.

 

 

…………え

 

 

ぽろぽろ涙を流しだすカガリ………。

 

 

………俺………泣かし……て………

 

 

何を……

 

………口に……した……っけ………

 

 

魚と………遊べる………としか………

 

 

.

 

 

『あっ………アスランは……』

 

涙を手のひらで拭いだすカガリに、俺はどうすればいいかわからず、彼女の髪を撫で上げる………

 

『わ……わたしを……ひ…ヒトとして……』

 

『君は………俺が愛するヒトなんだ………』

 

溢れだす涙を指で拭う。

 

『俺が………好きでいたいヒト………だから』

 

 

.

 

 

 

そっと抱き締めようと、カガリの背中に手を回すと、逆に胸を押されて………

 

距離が………広がる。

 

 

『アスランは、自分に言い聞かせている!!!わたしを!!!…わたしを………ヒトじゃ………』
『そんなことないッ!!!』

 

胸に刺が刺さったようだ………

 

『君こそ、俺のこと恨んでいるんじゃないか?君の人生狂わせて………俺の両親が………君をさらったばかりに………』

 

 

………どう………すれば………

 

伝わる?

 

 

.

 

 

 

『君が………生きてて………そして……出会えて………俺は嬉しいのに………』

 

 

涙で歪んだ瞳の先のアスランから、発せられる声は震えていて………

 

 

『君は………俺にはない才能を持っているし………だから、その力目当てと思われても致し方ないとは思っている!!!でも!!!』
強い力で引き寄せられ………驚いて瞳を開く。

 

目前に迫ったアスランの顔………

 

 

.

 

 

 

『………好きなんだ………カガリ………』

 

 

唇に触れたのは………私よりも冷たくなった唇………

 

 

頬に伝わる涙だけが温かく感じて………

 

キスされた後、抱き締められ、まだ冷たく濡れた肌と肌が重なる。

 

『君を見たときに………君を不幸にはしたくないと思った………泣かしたくないって………』

 

私の鼓動に合わせるように……

 

 

ううん………

 

それよりも早く、アスランの鼓動が聞こえる。

 

 

.

 

 

 

『俺………どう言えば伝えられるのか………』

 

 

肩にぽたっと温かいものが落ちる。

 

思わず顔をあげると、頬を濡らしたアスランがいる。

 

 

………真っすぐなヒト………なんだ

 

自分の運命にあがらうことなく、享受して歩みを進めて行こうと言うタイプなのかもしれない。

 

 

私みたいに………なんとか、離れようと………好きなものだけ、受け入れようとする人間ではなさそう………

 

 

………本当に

 

好き………なの?

 

 

私のこと………

 

………アスラン………は?

 

 

.

 

 

 

………言葉って………

 

 

本当に難しくって………

 

どうすれば、この思いが伝わるのか………

 

 

本当にわからなくて………

 

 

俺が伝えたい

 

好き

 

………と、言う気持ち

 

 

他の言葉には変換出来ないし………

 

 

だから

 

 

やっぱり………

 

 

『君だけが………好きなんだ………カガリ』

 

 

.

 

 

『………遅くないか?』

 

 

すっかり朝の食事の支度が整い、消えた焚き火の消し炭を掻き出しながら、イザークは呟く。

 

『でも………アスランが一緒ですから………』

 

シホは微笑む。

 

『何かあってからじゃ……遅いだろうが!!!』

 

立ち上がったイザークの手を引くシホは、首を振る。

 

 

『ニコル………様子を見てきてくださいな』

 

 

.

 

 

 

『君だけが………好きなんだ………カガリ』

 

 

………アスランの声が聞こえる。

 

こんな………声………

 

出すこと、あるんだ………

 

 

木陰に姿を隠してはいるけど………

 

どうやって知らせたらいいんだろう。

 

喜んで、女の子と遊び惚けて仕事すら忘れてしまうハイネとは違うだろうけど………

 

 

この雰囲気……じゃ………

 

 

ニコルはどう知らせようか迷いつつも、成り行きを観察していた。

 

 

.

 

 

 

『………アスラン………』

 

彼女の声に、抱き締めていた身体を少し離す。

 

目の中に………カガリの豊かな膨らみが入り………

 

思わず目を反らしてしまう。

 

 

『ごめん………その………着物も着せないで………』

 

 

慌てて胸を隠すカガリに、着物を掻き集めるアスラン。

 

カガリに渡して、木々に視線を向けて、なんとか赤くなった顔の温度を下げようとしたのだが………

 

『『!!!!!』』

 

 

アスランは耳まで赤くなってしまった。

 

 

.

 

 

 

『………どこから見てた』

 

ニコルの耳元に酷く低い声がかかる。

 

『………着いたばかりでしたから………』

 

誤魔化すようにニコルは笑いながら、真後ろのアスランに返事をする。

 

『………お前』

 

『接吻………したんですか?』

 

すっとぼけたように尋ねるニコルの質問を頭の中で考え直し………

 

 

『!!!お前!!!ホントにどっから見てた!?!?!?』

 

思わず勢いで、アスランはニコルの胸ぐらを掴んだ。

 

 

.

 

 

 

『何か………迷惑かけました?アスラン?』

 

騒ぐ前方の二人を見つめながら、シホは傍らのカガリに尋ねる。

 

『迷惑かけたのは………私だ』

 

淋しそうにカガリは笑って、逆にシホに尋ねる。

 

『アスランって………いつもあんなに優しいのか?』

 

シホは後ろのイザークを振り替える。

 

二人は目を合わせてから………うれしそうに細めて………。

 

 

『気になりますか?アスランのこと?』

 

図星を刺されたカガリは………みるみる顔を赤くする。

 

 

『………好かれたいんだ』………アスランに………

 

 

.

 

 

『これが………』

 

 

青く広がる世界。

 

白い自然物質は、雲と雪だけと思っていた。

 

寄ってくる白い飛沫………

 

 

青と白に支配された目の前の景色は………

 

 

『大地が………丸く見えますよ、アスラン!!!』

 

興奮して………頬をさくらに染めたニコルが、笑っていて………。

 

『あぁ………きれいだな』

柔らかな声で返事をしたアスランは傍らのカガリに笑顔を向ける。

 

………私………アスラン……だから………

 

 

『………ちゅッ』

『『『!!!!!』』』

『!!!!?』

 

 

眩しい太陽の光の下で………彼女………カガリは笑う。

 

『宜しく………アスラン!!!』

 

 

.

 

 

 

星………空………月の雫受けし人格者よ

 

眠りついた大地にて

 

同じ想いを歩みし時

 

永遠の黄昏は

 

霧の中より解き放たれる

 

全てのモノを高め

 

滅ぼす力を手に入れるであろう

 

 

(水の村に伝わる古文書より抜粋)
.

 

 

 

『眠りついた大地………ね………』
イザークは呟く。

 

『お前の考え通り来てみたが何もないではないか!!!』

 

『………』

 

 

目の前には荒涼とした砂漠が広がっていて………遠くまで今はよく見渡せた。

 

一面………黄土色の世界。

 

反射する山も、木立もない大地に、イザークの叫び声がよく通った。

 

『そんなに言わなくてもいいだろ??』

 

眉をしかめながら、カガリは嗜める。

 

『そうは言っても………』

 

水のない大地で生活出来ない事は重々承知している、水の村出身の二人にとっては、耐性が火の出身の三人より少ない。

 

イザークは憎々しげにアスランをにらむしか出来なかった。

 

 

.

 

 

 

『俺が先に行って、オアシスがあるか探してくる』

 

水筒と食料二日分を手早く分けて、アスランは背中に背負い込む。

 

『僕も行きます!!!』

 

アスランに負けじと仕度を始めるニコルに、アスランは笑って彼の手に自分の手を重ねる。

 

『いや………ニコル………』

 

穏やかな翠の瞳をきらめかせて、ニコルに話し掛ける。

 

『この場所は砂漠への入り口だから、砂漠に住むモノにも狙われやすいから………ここでみんなを守ってくれないかな?』

 

目を丸く見開くニコルに、アスランは口角を上げて柔らかく話し続ける。

 

『オアシス見つけたら連絡するし………そしたら砂漠の中の移動だろ?………キツいと思うから………』

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.

 

 

【編集後記】

 

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main(サイト内分類目次っぽいもの) こちらはガンヲタnejiがお届けする簡単節約とヲタク生活をすすめるサイトとなります。 メインで更新を行うページは呼吸するよ...

 

なんか、終わり方を考えずにダラダラっと書き出していた話だったので、未完成のままとなってしまっています。
多分、初期部分が書きたかっただけなんだろうな、うん。

 

誰かに忍者パロをリクエストされたんだろうけど、多分NARUTO好きなひとがリクエストしたんだろうね。
でも、NARUTO見たことないんだよね・・・

 

 

20180402ねじ

 
 

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心が泣きたい方へのアスカガ
 

【fuzz connection】第四部
社会人パロ。学生時代から交際していた30代のアスランとカガリ。カガリの行いをきっかけにアスランとカガリは別れてしまう。
 

………Lost Paradise
本編沿い。SEED25話前後の内容。アスランの回顧録。
 

ガンダムSEED、SEEDDESTINY本編沿いのお話。
各シリーズをまとめたリンク集です。気になるお話は見つかるでしょうか。
 

 

 

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