▼学生パロ(現代パロ)

Jumping higher!!!

 

 

 

 

 

【Jumping higher!!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

ここを出たら………私達は………

「ね?それ、何のジュース?」

「はぁ?何言ってんだよ、酒だろ?酒?」

「なんだぁ~また飲めないじゃん!!!」

「馬鹿!!!お前が撒いた種だろうが!!!
今日は、まずいんだろうが、今日は!!!」

「………そうだけど………」

………一杯だけ

そう軽くウィンクしておねだりするも、唇を尖らせた顔は変わらないまま………

「厳しい元カレだねぇ」

にやにや笑って私のグラスと自分のグラスをぶつける男友達。

「そう、思うでしょ?ディアッカ?
言ってやってよ、今日ぐらいは飲ませてあげなさいって!!!」

私がディアッカの袖に抱きつき、おねだりする。
私よりも濃い金髪を掻き上げながら、ディアッカはにんまりする。

「俺がフリーなら、文句なく飲ませてお持ち帰りするんだけど」

「ディアッカ!!!」

「なんだよ………怒る事無いじゃん!!!、か~い~もん」

とろける様に顔を崩したディアッカだったが………
1分も立たないうちに苦悶の形相に変わる。

「どこで遊んでいるのよ、ディアッカ?」

「………み、ミーア」

「あんた、謝恩会の進行役でしょうが!?こんなところで油売らないの!!!」

耳を引っ張られ、ひーひー言いながら引きずられていくディアッカを見送りながら………
カガリはそっと溜め息をついた。
………もう
終わりなんだ。

 

 

.

 

 

学校生活は嵐のように過ぎていった。
日々、課題ずくめで、実習もあり………
出席だけで評価される教科は、遅れてもいいから、しがみつくように出席してたっけ?
………寝ていることも多かったけど
そんな、日々授業台風注意報が発令されている中で、私は同じ学科のアスランと付き合いだした。
同じ教科をとることが多かったから………それは自然な流れだったのかもしれない。
そして………
アスランの誕生日にプレゼントを買いたくて始めたバイト。
授業の忙しさと、アスランとの生活と、バイトで………
不器用な私の身体は冬の到来と共に悲鳴を上げた。
学校で倒れて、そのまま入院。
実家から親が迎えに来て、そのまま帰省。
バイトも………
実家のベッドから、辞める事を店長に告げた。
履修した授業に関しては、なんとか教授軍からお情けをいただけて、レポート提出と、教授からの試験メールへの解答でどうにかなった。
………ただし、べらぼうな数の問題だったけど………
体調を回復し、復学した春………
待っていてくれると思っていた。
毎日メールくれたし、電話もしたのに………
アスランが………

「………こう……かな?」

探していたアスランが食堂の片隅で、女の子にしていたこと。
彼の長く白い指先に、女の子の指が軽くかかり………
少し上目に飛び出た薬指に、右手の指に持ち上げられた銀色の指輪。
それが、ゆっくりと女の子の指に納められていくのを見ながら………
私は再び、気を失った。

 

 

.

 

 

 

私達は終わった。
でも、同じ学科なのは逃れられなかった。
付き合う前と同じように、ご飯を食べ、レポートをした。
でも、ふたりの間には壁があった。
お酒も、体調の良い時にしか飲めなくなった。
学科の飲み会では、付き合ってもいない頼まれてもいないアスランが、私に対してお目付け役をして、余計、飲んで我を忘れさせてくれなくなった。
学生生活の後半は、そんな辛く冷たい嵐しかなかった。

「ね、カガリ、写真撮ろうよ」

酔ったシホと、ルナマリアに誘われて、私は三人で肩を組んでポーズする。

 

「サークルのみんなでも撮らなきゃ」

 

更に10数名になって、カメラの前でポーズする。

 

「ちょっと待て!!!なんで俺をのけ者にするんだ!!!」

 

謝恩会の司会にも関わらず、壇上から怒鳴って飛び降りたディアッカが突撃してきて………

 

オートシャッターのカメラは一部、驚愕の瞬間を収めていた。

 

 

.

 

 

 

謝恩会のあとのサークルのみでの二次会。
カラオケで、流行りの歌を歌って踊り笑う。
お酒の入った仲間と笑いあうのに………元カレのアスランの妨害で、アルコールが体内ゼロのテンションのままでいるのはひどく気分が悪い。

 

「フレイ………これ………」

「カシスカルピス?」

 

グラスの中身を答えたフレイは、薄く笑う。

 

「ずっと飲んでないものね………」

 

フレイは瞳を藍色の髪の男性に向ける。

 

「………それ、あげるわ」

「ぇ………」

「最後なんだし………飲んじゃいなさいよ」

 

そう言うと、私のオレンジジュースを取り上げ、飲み干した。

 

「ほら………カガリの飲み物はないわよ」

「………飲んでいいのかな」

 

思わずぼそっと呟いた声に、フレイは呆れ半分で立ち上がり、受話器をとった。
飲み物を幾つか頼み(ほぼウィスキーのロックとカクテル)カガリの隣に再び腰を下ろした。

 

「謝恩会でも飲まないで………あんたいつ飲むのよ?」

 

………確かに………

 

そうなんだけど

 

 

.

 

 

 

「明日の夕方の便で実家に行かなきゃならないから………その前に宅急便出して………」

「あんたぐらいよ?地元就職は………」

「だって………」

 

私は口を尖らした。
二年生の後半は地元に帰らせられる状態だったから………
親の意志で都心部就職が出来なかったのである。
………それ……と

 

「だったら尚更………飲め!!!」

「………うん」

 

………そう………だよね
もう………
今日は看病してくれる仲間がいる。
でも………もう、そんな友達はいないんだ。
人生の中で、最後の羽目を外せる日かも知れない。
それなら………飲まなく………ちゃ………
アスランが席を外し、カラオケルームの部屋を出た後………

 

「どう?久々のお酒は?」

 

身体がぽかぽかしてくる。
お酒?お酒なんて入っていたの?

 

「甘くて………美味しい……」

 

私は嬉しくなって笑った。

 

「おかわり!!!」

 

 

.

 

 

 

………………あつい
………なんでこんなに……あついん……だろ………
服は脱いだし………
……あれ?
いつ………脱いだんだ?
………のど……かわいた……な

 

「………水か……カガリ?」

 

声が、擦れて出ない。
瞳を閉じたまま、にっこり笑ってうなずいてみせる。
背中に手が回り、軽く身体を起こされると、私は口を半開きに開けた。
唇に………無機質のものが当たると………
!!!
ぇ………な………
久方ぶりに感じる感触………
柔らかで………さらっとした………ぬくもり
温い水が喉を通り抜けるのもわからない程に………
私が驚いて瞳を開けた先には、翠の瞳を閉じた元カレが私に………口移しで水を………

 

「………ッや」

 

私は両手を突っ張り、顔を背けた。
背中を支えてくれていた手は………それでも私から離れず、私は余計嫌悪感を抱いた。

 

「なんでこんなことするのよ!!!」

「飲むなって言ってた酒を飲んだのは誰だ!!!」

「うるさいッ!!!アスランになんで監視されなきゃいけないの!!!」

「好きだからだ!!!」

 

 

.

 

 

 

………何………それ
思わず見開いた瞳………
言い放った本人も………瞳を見開いていた。
暗い室内。
カーテンの間から入る薄い光では、彼の肌の色はわからない。
もちろん………私も……知られてない……はず

「変な嘘、つかないでよ!!!」

 

私は逃げるようにベッドから転がり降りた。
背中に触れられてる手が怖かった。
優しさを感じる手が怖かった。
だって………私達は………
別れたんだよね?
確かに、話し合いの場は持てなかったけど………
私、言ったよね?
付き合うのやめようって。

 

「………ごめん」

 

かりかりと音が聞こえる。
忘れられない………彼が困った時に頭皮を掻く癖。
頭が禿げるとからかうと、お前が俺を困らせるからだ………って、いつも抱きついてきてたよね?
………なんでこんなこと
私、今更思い出しちゃうの?

 

「バカッ!!!なんでッなんでッ………」

 

アスランの言葉にじゃない。
奥底にしまい込んだ思い出に私は否定した。
私だって………好きだった………
でも、もう会えないんだ。
会えないようにしたんだ………
地元就職にして………
………会わないように………した……んだ

 

「………キス………したこと………は、謝るよ」

 

小さく吐いた息の後、アスランは言った。

 

「迷惑なのはわかってる………でも」

 

………俺はまだ………
布の擦れる音がした。
ベッドの軋む音と共に、何かが置かれた。

 

「あの時から、俺は後悔しかなくてッ!!!」

 

擦れた声に驚き、私は後ろを振り向いた。
逆光で表情がわからないアスランの手の先に置かれたもの。
………見覚えのある革袋。
学校で倒れて以降、何処に行ったのかわからなくなっていた。
私………が
身体を壊すまでバイトして、買ったもの。

 

「………そんなにペアリング………気付かなくてごめん」

 

革袋の中には………既に二年は経過したペアリングが入っているはずだった。

 

 

.

 

 

 

「終わった………ことだよ」

「俺はまだ終わらせてない!!!」

 

トーンを落として話す私と対称に、アスランの声は感情に満ちていた。

 

「別れるとの一言しか君が言わなくなって………それでも、避けられる二年間よりはいいかと思って、君と別れたけど………」

………会えないなんて………嫌だ………

 

振り絞るように………擦れたアスランの声が、小さく部屋に響いた。
伝えられなかった誤解。
カガリが身体を壊しながら購入したペアリングを知り、時給のいい配膳バイトを始めたこと。
バイトの中で………急遽結婚式予行の男役をさせられ………
実家から戻ってきたカガリから避けられるようになり………
別れざるをえなくなったこと。
それでも………

 

「………カガリ」

 

アスランは、カガリが購入したペアリングの入った革袋の隣に、封筒を置く。

 

「これが俺の気持ち」

 

 

.

 

 

 

「………こら」

 

フレイは隣の金髪の髪をぐちゃぐちゃにする。

 

「お前はいつ仕事をしてるのだぁ!?」

「えへへ」

 

卒業してから………実家とこちらを何回往復したのだろう。
旅費は………卒業式にくれたアスランからの封筒に入ってた。

 

「で………迎えにくるのは?」

「あと30分後かな?残業だって言ってたし………」

 

カガリは烏龍茶を口に付ける。
グラスを両手で持ち上げるカガリの指には………キラキラ石が輝いていた。

 

「毎回それしてくるけど………そんなにお気に入り?」

「うん♪」

 

照れるようにはにかみながら頷くカガリに、幸せなんだと心から伝わる。
そして…………

 

「済まない………客がなかなか………」

 

言い訳めいたことを口にしながら藍色の髪を揺らして席に着く彼。
ウェイターからのおしぼりを受け取りながらビールと頼み………

 

「………か……カガリ……その指輪………」

 

頬を赤らめながら必死に言う姿は大学時代からそう変わらない。

 

「仮にも婚約指輪なんだから………その………」

「いいの!!!」

 

カガリはにこにこ笑い続ける。

 

「アスランがくれた中で一番嬉しかったものだから………」

………あの時の思い、ずっとずっと………持っていたいの………

 

二年間………お互いが秘めていた

【好き】と言う想いと共に

 

 

20110401-231【Jumping higher!!!】

 

 

 

 

 

 

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【編集後記】

 

あわせて読みたい
main(サイト内分類目次っぽいもの) こちらはガンヲタnejiがお届けする簡単節約とヲタク生活をすすめるサイトとなります。 メインで更新を行うページは呼吸するよ...

 

書いた当時のあとがき・・・

 

 

 

卒業式に参加出来なかったヒト達へ
必ずいつかは出来るから
先ずは今、束の間でも、気持ちが穏やかになったのなら………
恐怖から旅立てたと言う、【卒業証書】を送りたい

 

20110401-ねじ

 

 

 

震災の直後だったんだね。

自分の母校も・・・

震災の影響で卒業式は取りやめになったんだよな。

 

 

なんか、そんなこと思っていたら、寂しくなってかき上げた話だったかと。

 

 

恐怖・・・ね。

実際、自分はその当時、恐怖と戦っていて。

余震もさることながら、高層ビルの職場の船酔い現象・・・

心療内科で薬もらうほどでもなかったけど、ふと思うと、自分は何のために生きているんだろうと考えていたり。

 

 

 

そういえば、今日が機動戦士ガンダム放送初日みたいですね。

自分はまだ、生まれていない時期だね。

 

 

生と死、出逢いと別れ・・・

そこから何を学び、何を伝えていけるのか・・・

それが人間というならば、誰かの心に何かを届けたい。

 

 

20180407ねじ

 

心が泣きたい方へのアスカガ
【fuzz connection】第四部
社会人パロ。学生時代から交際していた30代のアスランとカガリ。カガリの行いをきっかけにアスランとカガリは別れてしまう。
………Lost Paradise
本編沿い。SEED25話前後の内容。アスランの回顧録。
ガンダムSEED、SEEDDESTINY本編沿いのお話。
各シリーズをまとめたリンク集です。気になるお話は見つかるでしょうか。
 

 

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