2009年書き下ろし

Velocity Night-01-vol.01 オモウコトはただヒトツ

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蠍座と乙女座の平衡定数の続編になります。
ラスト未完成です。

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Velocity Night-01-

vol.01 オモウコトはただヒトツ

見ることのない神様へ

この熱いものはなんですか?

僕は………彼女を………

守りたいだけなのに………

【Velocity Night】
.

『カガリ……』

突然渡された除隊届。

『認めない!!!』

執務机をおもいっきり派手に叩く。
届を出した本人に詰め寄り、軍服の胸ぐらを掴む。

『言え!!!本当の理由を!!!』

カガリの手の中で、軍位で彼女に次ぐ准将の縫い取りが歪んだ。

………思ってた通りだな………

アスラン・ザラは、胸ぐらを捕まれても平静を保っていた。
いや………寧ろ、顔には微笑みすら浮かべていた。

………やっぱり………

……ベッド中での挨拶が……

最後……か……

分かっていたこととは言え………胸にちくちく針が突き刺さる気分だ………

.

『カガリ……起きて……』

触れては壊れてしまいそうな程に……優しく口付けを繰り返す。

『……ふんっ……ぁ……』

ゆっくりと瞳を開けるカガリ。
黄金色の瞳に、自分が映るのがわかる。

『……あ…すらん……』

真っ赤になっているカガリの唇を軽くついばむ。

『おはよう……カガリ』
『おはよう……アスラン……』

赤い顔をするカガリの耳元で囁く。

『………疲れてた?すぐに寝ちゃったけど……』
『なっ……アスランが……』

耳まで赤くするカガリを更にからかう。

『幸せだった……カガリ……気持ちよくて……』

寝汗で……少し汗ばんでいるカガリを抱き締める。

『もぅ……だめ……アスラン……』

上ずった声を出すカガリの背中に………指を這わす。

『………一回は……出来るよ?』

自分の指に酔うカガリの切ない声を聞き、アスランは……自分の決意が揺らぎそうだった………。

.

微笑み返すアスランに、これ以上怒鳴っても仕方ないことはわかっていた。
それだけ……決意が固いことなのだから。

でも……カガリには許せなかったのだ。

朝の……幸福感から落とされたこの気持ち………。

分かって……朝から私を抱いたのか!!!

浮かび上がった涙が瞳から零れ………

『……許して……カガリ』

怒鳴り付けた相手の指先で涙を拭われる。
今朝……私を狂おしい程に……酔わせた指先……。
まだ………愛された痛みと倦怠感の残る身体………。

その行為も……腹立たしいような……情けないような………

………こんなに毎日いるのに………

………なんで……私は………

アスランの気持ちに気付かなかったの?

.

『浮かない顔ですな……准将』
『聞きましたか?キサカ一佐………』

与えられた執務室で……本日中に済ませたい仕事を着々と終わらせていく。
いくつか書類を抱えて入ってきたキサカ。
普段は運び込むことはないコーヒーの薫りと共に………

『急……ですな。
今……行われている会議も……』
『……あぁ……わかっている』

コーヒーを受け取り、上の空のまま………
会議に参加しているだろうカガリを想像する。
俺が辞職することで………
その穴をどう埋めるか、話し合っているのだから。

『理由は……やはり……』
『……答えられるなら答えますよ……』

コーヒーを一口すすり、顔をあげてキサカに微笑む。
優しい……強い意志を孕んだ瞳に……何も言えないキサカ。
その瞳の色は……彼に出会ってから何度となく見てきた色………。
オーブを……何回も守ってくれた色。

『ひとつだけ……教えていただけますか?』

顔に表情を出さないまま、キサカは尋ねる。

『……なんで……すか?』

動揺する訳でもない、変わらない声。

『オーブを……カガリ様を……守っていただけるのですか?』

変わらぬ微笑みを讃えたまま……アスラン・ザラは………

.

『……すみません議長……』

自室に引いた特別回線で上司に報告するシン。

『いずれ……分かっていたことですし……』

豊かな………揺れるピンクの髪の中でにっこり微笑むクライン議長。

『貴方からの報告から推測して……アスランの向かう場所を考えましょう』
『わかりました』

即座に答えてから、シンは尋ねる。

『あ……あの……私は……』

きょとんとした顔を見せてから……

『ヤマト国防委員長から連絡を入れさせますわ』

歌姫はにっこり笑って答えた。

.

『私には……挨拶なしかと思ったわ』

モルゲンレーテへの出入口で……プライベートカーと共に待っていた人物に声をかけるエリカ・シモンズ。

『最後ですから……送らせて下さい』

翠の瞳を細めて笑いながら、助手席の扉を開く。

『専属のボーイとして雇うわよ、貴方さえよければ』
『………こきつかうくせに』

車内に軽い笑い声を響かせて……車は走りだした。

.

『はい……お餞別……』

シモンズの自宅近くになり、渡されたメモリーチップ。

『………流石……ネットセキュリティ管理者……』

焦ることなく……アスランは呟く。

『二回だけ……セキュリティにひっかかったわよ……』

目は笑っているが、声は叱咤している。

『そのチップ経由なら……オーブのアラートはならないようにしてあるわ』
……プラントは……知らないわよ
『大事に……使わせていただきます』

澄んだ翠の瞳で、アスランはセキュリティチップを見つめる。

『それと……頼まれていたもの……似合うわね……アスラン』

楽しそうな声を出すシモンズに、アスランは釘を刺す。

『………趣味とは……捕らえないでくださいよ……』
『あら……いい趣味だと思うけど……私は、真似出来ないわ』
『………』

拗ねるアスランに追い打ちをかけるように軽快に彼女は笑うのだった。

.

………もう一度………話し合えば………

除隊を自分の権限で当日に下ろした。
アスランの希望通り………
だから、彼が戻る場所と言ったら、アスハ邸しかない。

アスランの業務の引き継ぐ人間もすぐに決めて仕事も引き継がせた。
寮の部屋の荷物なんて………アスランのことだし、もう詰めてあるに違いない。
玄関ホール横のホワイエのソファーに座っては立ち、無意識に歩いてはまた、ソファーに座り………

………何時間いるのだろう………

袖を捲り、アスランからもらったクロノグラフを見つめる。

………まだ30分………

その時、玄関付近で音が聞こえた。
思わず飛び出すカガリ。

『………のっ……く………?』

………アスランには………

鍵を………

渡してあるハズ………

乱暴に鳴る扉の音に、奥からマーナが出てくる。

『………お嬢様、マーナが開けま……』
『いや、いい』

鍵を開けると、黒い髪の少年が入って来て、腕を引っ張られ、外に引っ張り出される。

『シン!!!』
『あんた!!!何してんだよ………こんなところでッ!!!』
『何………って………あすら…』
『あいつはもうスペースポートだ!!!』

まるで………荷物のように振り回され、車に押し込まれる。

『あんた………アスランの何を見てたんだよ』

ベルトを締める間もなく、
アクセルを踏み込むシンの荒い運転に揺られながら、カガリは顔を歪ませる。

『なに………って………』
『ユニウスセブンの爆破降下の時から、成長もしないのか………あんたはッ!!!』

燃えるような赤い瞳に睨まれ、思わずたじろぐカガリ。

………また………何か………

アスランは抱え込んでいた?

『アスランを襲った………お前が殺した人間も、まだ捕まえている少年のも……報告は受けている。
あいつが抱えこむようなこと………』
『また………聞いてないのか………
………って言うか、あのヒトの性格、いい加減掴んだらどうなんです?』
『あのヒト………自分のコトは自分で処理しようとするじゃないですか………
今回も………辞職する理由、しっかり話しましたか?
話してないんでしょ?』

前走車をどんどん抜かしていくシン。

『………話してくれなかった………だから………』
『家で待ってたんですか………』
『………うん』

素直に返事をするカガリは、その辺にいる恋する女の子で………
一国家の代表としての品位を今は纏う事すら忘れている。

………なんで、このヒトをほったらかして出かけてしまえるんだろう………
あのヒトは………

.

冷静に考えれば………アスランの行動はわかったのかも知れない。

『俺だったら………
最後に好きな女の子と過ごしてから出掛けますけど………ね』

嫌味のように呟くシンに、彼の行動を重ねる。

『………』

昨晩、そして朝の行為………

腹部に残る鈍痛………

………そういう………コト………?

私が………

私が………気付こうとしなかった………の………?

.

………(幸せだった……カガリ……気持ちよくて……)………

いたずらっ子のように輝かせた翠の瞳………

………(愛してる………今も………これからも………ずっと愛してる………)………

いつも言わない繰り返しの愛の告白………

………(どこにも行かないで………カガリ………此処にいて)………

………(お願いだから……此処に………いてくれ………)………

.

『アスランッ!!!』

完全に停車する前に、カガリは車の扉を開けて走りだす。

『困ります………お客様………駐車場に停めていただかないと………』
『じゃ、お前がやってくれ!!!』

シンは鍵をボーイに投げ渡し、カガリの後を追う。
エスカレーターを駆け上がり、搭乗ロビーを走る。

『アスランッ!!!どこだアスランッ!!!』

プラントと地球を繋ぐスペースポートは数が少なく、
オーブは民間としてほぼハブ空港の役割を一身に受けていた。
24時間稼働とはいえ、21時を回った空港………
まばらな待ち人達の中に、見慣れた藍色の髪は見当たらない。

.

『………搭乗手続きをされました方………出発ロビーにお急ぎ下さい………』

アナウンスの言葉に身体を震わせて立ち止まるカガリ。

『………シン………』

………潤んだ瞳で見つめられても………俺だって………

『………ッ』

携帯電話を取出しダイヤルする。

『特務隊フェイズ所属シン・アスカ。
スペースポート管理官に繋いでくれ!!!』

………もう………こちらを出てしまっているなら………

俺の権限でどうにか……出来る………!!!

『管理官!!!
アスラン・ザラを見つけ次第、ポートから出さないでくれ!!!

……え?理由?
………理由は………

忘れ物があるからだッ!!!』

.

『………忘れ物………か』

上りエスカレーターにまで届いたシンの怒鳴り声。
その傍らで、崩れていくカガリ。
久々に………必死に俺の名前………呼んでくれてた………

誰よりも意志の強い黄金色の瞳………

誰よりも涙腺の弱い黄金色の瞳………

誰よりもいとおしい黄金色の君………

………(……アスラン……アスラン……)………

包みこむような柔らかい声………

もう………

………聞けない………のかな………?

.

俯くと………

胸元で赤い石が鈍く光る。

……(…お前……危なっかしい…)……

………部屋に置いてこれなかった。
何度も守ってくれた………
カガリからのプレゼント

ごめん………

ごめんなさい

………カガリ

背後で呼ぶ悲痛な叫び

苦しくなる胸の痛みに押しつぶされそうになりながら、
俺は指定席に座り、シートベルトをした。

.

『………はい』

泣き崩れたカガリをベンチに座らせ、落ち着くまで肩を叩く。
ズボンに突っ込んだ携帯電話が激しく揺れたのを感じ、俺はボタンを押す。

『すみません………手遅れでした。
………はい、了解しました………』

俺は一度、携帯電話を耳から離す。

『………代表……電話、出れる?』
『………でん……わ………?』

力なく、携帯電話を握りしめ、耳にあてるカガリ。

『………きらぁ………』

一気に涙声に変わる彼女に、俺はなんで抱き締める資格がないんだろうと………
胸の内を呪った。

.

『カガリ………事情は知ってる……アスラ…』
『返してよ、アスランを返してよッ!!!キラもラクスも!!!なんで………』
『カガリ………』

電話口で泣き叫ぶ双子の姉………
キラは正面に立つラクスに哀しげに視線を送り、状況の程度を知らせる。

『今回に関しては僕たちは関わってないよ………カガリ』
『そ……んな………』

嗚咽の声が止まることなく聞こえる。

………(言えるようになったら話すから………)………

三ヶ月前に交わした約束。

哀しい瞳に強い意志を隠した翠の色。

アスラン………君は………

何をしようとしているの?

.

『………好きなの………アスラッ……だけが……』

………何度………も……

何度も聞いてきた彼女の涙声………

僕は

それを止められるのは君だけだと

信じてきたのに………

胸が………どんどん痛くなる………
裏切られたようなこの感覚。
頬に触れる冷たい指に、僕は顔を上げる。
気付かぬうちにキツく握り締めてしまった携帯電話ごと、ラクスは僕の頭を抱き締める。
彼女の柔らかな身体の感触に、胸の重りも………少しずつ緩和されていく。

『カガリ………アスランを必ず見つけるから………だから………』

.

Velocity Night-02-につづく>>>
20180403





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